自由を愛するあなたへ!国際結婚&学び好きが特に共感した『アナキズム入門』レビュー

今回ご紹介する『アナキズム入門』は、

 

 

  • 権力なんてクソ
  • 学問は大事だと思うが「学者のための学問」的な在り方には疑問
  • 留学・国際結婚などで「マジで『国』という制度が滅すればいいのに」と思ったことがある。
  • 自立した思考を持ち、上から管理されたくない。

 

 

こういう傾向にある人にはぜひ読んでほしい本です。読書中に大いに共感し、自分もアナキストかも?と気づくきっかけになるはず。

 

 


 

本書はあなたが「アナキズム」と聞いたときイメージするものを裏切るでしょう。

 

 

「アナキズム」と聞いたとき、今あなたはどんな印象を持ちますか?

ちなみに私はチェ・ゲバラ。なんか革命を叫んで武力闘争してるイメージでした。手りゅう弾とか火炎瓶とか投げてそう。危ない感じ。混沌とした感じ。あんまりお近づきになりたくない感じ。

 

 

確かに割と皆さん戦ってるんですが、暴れるだけがアナキズムではないのです。『アナキズム入門』の読後は、その思想に「アナキズムって、意外と平和的で身近なもの」かも?と気づくはずです。

そして過去のアナキストたちに共感する部分が多々見つかると思うし、もしかしたら彼らに共感することで、あなたが抱えている孤独がほんのちょっと稀釈されるかもしれない。

 

 

という訳で本記事では、哲学全般まったくの素人が『アナキズム入門』を読んで、個人的な視点で面白かった点や共感した点を中心に紹介していこうと思います。

 

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『アナキズム入門』の構成や内容

 

軽快なテンポの文体!

 

『アナキズム入門』の文体は、難解な哲学書のそれではありません。全くの素人が理解できないような難しい理論や概念は書いていません。

とにかく語り口が軽快で、まるで夏休みに久しぶりに会った親戚のお兄さんからワクワクする話を聞かせてもらってるような、親しみやすい印象です。

そして親近感全開の親戚のお兄さんが「アナキズムって実はみんなにとって身近なものじゃない?」みたいな感じで、ド素人の読者と目線を合わせて語り掛けてきます

 

テンポの良い文体は音楽でも聴いているかのようです。そして実際に本文中には、ちょいちょいJロックが放り込まれてくる。ゆらゆら帝国とか、相対性理論とか、サチモスとか、Coccoなんかが、ちらっと引用されているのが音楽好きもといオタク心をくすぐるのです。よき。

 

 


 

本書の構成

さて、軽快な音楽のような文章本はどのような構成でアナキズムを語るのでしょう。

本書では19世紀から20世紀初頭のヨーロッパの超有名アナキストを5人扱います。初心者は取り敢えずこの人達を知ってたらOKみたいな人達です。

この5人のアナキストはそれぞれ1章ごとに描かれます。各章はほとんど繋がっていないので、1章完結のアンソロジーのように読めるのも便利です。気になるアナキストから読んでもOK。

 

5人のアナキストたちは、貴族出身だったり、比較的恵まれた環境で育った人もいれば、農民出身の庶民もいます。出身は様々ですが、多くの人物は若い頃の経験から社会と自分の間に何かしらの葛藤や疑問が生まれ、「ヒエラルキーの上の奴らはクソやな!」と反発し、アナキズムを標榜するようになります。良い家柄のボンボンなのにアナキストにあなるとか、アツい。

 

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国際結婚&学問に関連してアナキズムに共感する。

 

とはいえ、今から100年以上も昔の人達の話です。「21世紀に生きる自分にとっては遠い存在だろう」「昔の思想家の言葉なんて、偉そうで古臭そう」なんて思うかもしれません。しかもアナキストなんて、字面からして身構えてしまう。

 

それでも、共感の嵐なのです。

 

 

国際結婚している者として、ルクリュ兄弟にグッとくる。

 

中でも私が一番グッときたのは、ルクリュ兄弟。

 

本文中では主に弟の方がアナキストとして描かれます。とにかくすさまじい距離を歩くアナキストで地理学者でもあったようです。ちなみにアメリカに来て、黒人奴隷に激怒して、のちの執筆物でリンカーン大統領を感動させたりしているの。

 

このルクリュ弟、アメリカに行ったときは現地で目にした黒人奴隷に激怒してます。同じ人間なのに!てな具合で。

 

これに加えて、後の結婚相手はセネガル系黒人とアメリカ系白人のダブルの女の子、クラリスちゃん。当時のフランスでも黒人に対するまなざしはあたたかいものではなかったけど、それでも結婚したの。

この人種で差別するとか意味わからん!という思考と行動が一致している感じ、とても良い。めっちゃ共感する。

 

 

民衆のための学問、知識人であり民衆である点に共感

 

そして兄のエリーの方も良い仕事しているのです。

実はパリ・コミューンのごたごたでも、ルーブルに収蔵されていた古代の記念物は保護され、国立図書館の貴重な本は、焼かれずに済んだのはエリーお兄ちゃんの働きがあったからなのです!彼は図書館とルーブルの管理者になって、貴重な収蔵品を火災から守りました。すばらしい!

 

現代の私たちが多くの知識と作品に触れられるのはこういう人の働きがあったからなのですね。古遺物に愛着を感じつものとしてはマジで感謝。

 

私、アナキズム的な生活について考えていると、歴史や遺産などの保存ってどうすればいいんだろうか?という疑問にぶち当たるのです。だって歴史や記念物って生きるのには不要ですし、どうしても権威と繋がっているものだし。そんなもの、どうしてもみんなに共通して必要ともいえないというか、頑張って保存すべきなんだろうか?とか。

でもルクリュ兄の働きを追うことで、地に足着けた低い目線を大切にし且つ反権威主義的な生き方であっても、知識や遺産を大事にするという生き方の解決策が得られるかもしれない…とも思うのです。

 

クロトポキンの章では、こんな一説もあります。

 

自分の学問は何のため妥当か。学者の知識は何のために存在するのか。知識人たるもの、民衆とともにあり、そして学問に励むべし。クロトポキンッはそう考えた。知識人だけに囲まれて、知識人だけど議論をして、知識人だけに向けて論文を書くなんてまっぴらだ。

-『アナキズム入門』第三章-聖人クロトポキン より。

 

 

そうなんですよねぇ。学者にしかわからない言語でのみ語られる知識より、学問を職業にしてない人にも届くような、でも専門的であるような知識とか姿勢に憧れるのです。

 


 

自由な共同体へのあこがれ…『国』という制度すらも無くなればいいのに!

 

国際結婚のあるあるかどうか断言できないのですが、「国」というシステム超めんどくさいって思ったことないですか?

 

 

私はここ数年「国なんてなくなればいいのにな」などと思ってました。きっかけは至極単純で、ビザが本気でめんどくさいから。

 

 

国際結婚だと、どこに住んでいても常にビザの問題が付きまといます。アメリカなどの第三国に引っ越すのももちろん、どちらかの母国に居住するにしろ基本的にはビザが必要。のちに滞在許可証とかグリーンカードとかなんだかんだ、その国に滞在するのに手続きが必要です。

 

 

本当にめんどくさいので、1つの国の中での引越しのように、転入&転出の手続きだけできればいいのにな。ある地域に入ることを誰かに制限されるのマジで鬱陶しいな。じゃあもう、国家とかなくなって全部1つになって、行政区だけあればいいんじゃない?なんて思ってしまう。

 

でも全部管理されるのは嫌だ。えらいひとはきらいだ。

 

じゃあ、管理されなくてもいいように、みんなが自立して考えて、より良い方向に行くように話し合えればいいのでは?より良く生きる人同士が、お互いちょうどよい妥協点を探しながら自由に生きることができれば、マジ平和なんじゃないの?

 

ということを常々考えていた私は、『アナキズム入門』にあったウクライナで「私が思ってたのはコレや!」というユートピアを見た。少し引用する。

 

この豊かな土地に住まう人たちは、国家などに頼らずとも、生活ができることを知っている。とりわけ土地を造成したり、耕作したりせずとも、その辺に種をまき、時期が来れば、作物が収穫できる。ウクライナの人たちは食べ物があれば生きていけるという当たり前の事実を当たり前のように生きていたのである。税金なんて払わなくても生きていける。オリンピックなんてなくても生きていける。政府がなくても生きていける。

-『アナキズム入門』第五章-暴れん坊マノフ より。

 

 

ウクライナは、もともと自立して考え国家権力を信用しない反骨精神があったようで、共産党がゴリゴリに攻めてきても影響が少なかったらしい。そうなのだ。みんなの話し合いで自律的に日常の物事を解決していきたいけど、それを国という権威から指図されるのは嫌なのです。

 

 

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おわりに-どうやってアナキズムを実践するのか?

 

私は『アナキズム入門』を読んで、まんまと「自分はアナキストなのでは?!」と気づいてしまいました。著者の思うつぼです。

もし権力が支配しなくても自律的に考えて判断して、みんな仲よく平等に生きていけるなら、世界は本当に平和。しかもね、個人にはそれぞれの自由であるけど、みんなの理性や善を信じられる世界なの。素晴らしくない?

 

 

さて入門書を読了した今、次に気になるのは実践的にどうすればいいのか。

特にアナキズム的な生活と学問の実践です。あと何でコミュニストじゃうまくいかないのか、もっと勉強したい気持ちです。

 

私としては、もっとこの本に早く出会いたかった。正直言うと高校生の頃には読んでおきたかった。でも出版が2017年ということで、めっちゃ最近で、これに関してはしょうがない。

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