アジア系外国人がアイデンティティである私は「出身はどこ?」よりアジ専が気持ち悪いかもしれないかも
2021年10月11日近所で、知らない中年男性に「どこから来たの?」と尋ねられたんです。この記事はその話。
夫と2人、散歩の帰りにスーパーに寄ろうと思って交通量も多い場所を歩いていたんです。そして交差点の横断歩道前に中年男性が座ってたんだけど、別に知り合いでもないし、普通に男性の前を通過。
※ちなみに私の体感でいうと、フィンランドはフランスと比較してすれ違いざまに挨拶をする頻度が格段に少ないです。なのでここで相手にHeiとも言わなかったのは悪手ではないと思うのです。
そしたら、男性の前を通り過ぎようとした時に、男性が私に何か言ってるのが聞こえました。
特に激しい雰囲気ではなかったけれど、振り返った時に明確に私の目を見てフィンランド語で言って何か言ってたので、私に話しかけているというのは明らか。でも私も夫もフィンランド語わからない。
なので私は相手に英語で「申し訳ないが、私達(we)はフィンランド語が理解できない」と返した。ここで私達と言ったのは隣に夫がいたからね。
すると相手はWhere are you from?と、まず私に聞いてきた(目を見て)。夫から先に聞くではない。
で、私は「日本だよ」と答えたら、次に夫に「and you?」と聞くので夫は「フランスだよ」と答えたのです。そしたらまた私の目を見て、Japanese women is so coolと言われたんですわ。で、瞬間ゾワッとしちゃったの。
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何の脈絡もなく相手の出身や国籍や人種を訊きます?
私自身はこの国の国籍を持っているわけでは無いし、日本の田舎では夫(白人)はかならず「どこから来たの?」と聞かれるの。なので、ぱっと見で人口比率的に少数派なアジア人を見て、外国人だと判断することはあることだと思うし、そこから深く考えずに自然と「どこの国から来たの?」と聞くのもあると思うし、それが常に悪いことだとも思わないのよね。聞かれた本人の自意識によって反応が変わると思う。
でも訊く前にさ、普通は多少のスモールトークがするでしょうよ。
日本で夫に「どこから来たの?」と聞いてきたおばあちゃんは、電車で何か会話してから夫に出身を聞いてきた。私に「中国人?」って聞いてきたサンアントニオの遊園地で相席した白人男性も、ハンバーガーどこで買ったのとか多少の会話があった。
こういう小さな会話で、何となく相手が外国人なんだな、と把握してから「どこから来たの?」って言われるなら、私は良いのだ。だって普通に人間として扱われてるじゃん。
立場を変えて考えてみると理解しやすい。
例えば、今私たちは日本にいると仮定する。そして私たちの目の前に、見た目がアジア人ではない人が歩いているとする。その人にいきなり「どこから来たの?」って脈絡もなしに尋ねるだろうか?日本人の可能性だって全然あるのに、自己紹介をする場面でもなく、また親しく会話する前なのに、唐突に相手の出身を聞くだろうか?
多分、私ならいきなり出身国は訊かないでしょ。不自然だし、めっちゃ失礼でしょ。
国籍や人種を元に相手を褒めます?
そして仮に、その相手が「アメリカだよ」と答えたとする。「アメリカ人男性/女性は格好いいね!」と返すだろうか?
私と夫が遭遇した男性に、例えば「日本は良い国だね!」と返されたら、また違うかもしれない。
日本という国や文化は、私という相手の前に立つ一個人を構成する要素だけど、それ自体ではない。きっと「そっか、日本好きな人なのか」程度で特に何も思わなかっただろうし、もしかしたら文化についての会話があったかもしれない。
(いや、でも私のことだから、日本人という表面的な要素だけを扱われたとして文句言ってるかもしれない…?)
「アジア人女性は~」というステレオタイプ化ってポジティブな人種差別
アジア人女性に対するステレオタイプを被弾した経験から防衛本能が
私はパリでいわゆるアジ専に付きまとわれたことがあるので、今回のように突然話しかけてきて「日本人女性(アジア人女性)は良いよね」とか褒めてくる輩に対してかなり警戒しているのです。
パリのクソ野郎は、歴代彼女の多くがアジア人だとかでアジア人好きを隠そうとしなかったんですね。そしてめちゃくちゃしつこくて、私という相手の意志を尊重してないと事に「アジア人は押せばどうにかなる」と思ってそうな感じが垣間見える。外国人である私を追うくせに、そのくせ政治的にはゴリゴリ保守の支持者で、同性婚も移民(つまり私がそうなるであろう可能性のあるカテゴリー)も認めない反多様性。
本当に気持ちが悪くて今でも思い出すたびにミンチにしてセーヌ川に流してる(笑)
そういえば、フロイドさんを殺した白人警官も元妻がアジア人だったとか。これを知った時、上記のパリでの出来事があるので私は「これはあるあるなんだな」と思った。
だから今回フィンランドのスーパー前で遭遇したような、突然話しかけてきて「日本人女性は云々」言うメンタリティの男性に対しては、発した言葉が小さな一言でも、ものすごーく警戒する。
ポジティブでもネガティブでも、国籍や人種をもって私個人をジャッジされるのは気持ちが悪い。アジア人女性に対して都合の良いファンタズムというかステレオタイプをもっている非アジア人の男性は存在するからね。
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でもこれは、私の経験フィルターを通した結果だからさ
今回の件について、ものすごく寛容にも考えてもみたの。
まずさ、男性は最初フィンランド語で話しかけてきたから、私達が相手の言わんとしてることを理解してない可能性もあるよね。
フィンランド語でもしかしたら、何かスモールトークというか、会話を試みようとしていたのかもしれない、とも想像するのよ。
そしてもしかしたら、その後もJapanese woman is so coolなんていうことではなく、本当はもっと言いたいことがあったけれど、英語ではニュアンスや本心まで表現できなかったのかもしれない。母国語じゃないと難しいよね。それはわかる。
あと大事なのは、あからさまなアグレッションを受けていない。アジア人は国に帰れ!とも、細い目のジェスチャーもない。夫を会話に混ぜるでもなく「日本人(アジア人)女性は」と言われたわけだけど、「うわ、きっしょ」と思ってしまったのは、パリでの経験という私のフィルターを通しているから。
きっとパリでアジ専糞野郎に出会ってなければ、ふんわりと「日本人女性はよいって褒められた~」と浮かれていたかもしれないね。
おわりにー次回は「私の自出や国籍があなたに何か関係があるのでしょうか?」と逆に相手に聞いてみたい
私の常識であれば、見ず知らずの相手にスモールトークもなしに、いきなりエスニシティや国籍を問うことはとても失礼だと思う。
でもフランスで色々あってから私が常識だと思うことを常識だとしない人々も存在するというのも、流石にわかったので、せっかくなら遭遇した禍が転じて福となるような機会に変換しよう。
だから次は「私の出身があなたに何の関係が?」と返して、馬鹿正直に「日本人」と答えるのはやめてみる。これは私が日本の外で生きる練習であり実験なのだ。
そして「日本人女性は/アジア人女性は」という男性には、一応そういう発言の理由を聞いてみてから、「私はあなたの想像するアジア人女性ではないよ」と返してみようかな。
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